一口に外壁材といっても、その素材は多種多様。
建材メーカーが作るものもあれば、ハウスメーカーのオリジナル品もあります。
今回はその中でも、代表的な外壁材6種類の特徴を解説していきます。
目次
窯業系サイディング
今や新築戸建での使用率が8割近いシェアを誇る、窯業系サイディング。
施工のしやすさ、デザインの豊富さが、この高いシェア率を築き上げた要因と言われています。
モルタル調、タイル調、コンクリート調など、他の外壁デザインを高いレベルで再現できるため、「自分の家はタイルだ」と思っていたら窯業系サイディングだったということは良く聞く話です。
窯業系サイディングの中身
窯業系サイディングは、セメントに繊維質を混ぜて、板状に成型したものです。
繊維質は、木繊維や合成繊維、ガラス繊維、金属繊維などが使用されています。
下の画像は石積調のサイディングを割ったものですが、ハッキリと木繊維が見えていますね。
またこちらの画像はサイディングのコーナー部材ですが、裏面や断面には塗装がされておらず、表面にのみ塗装されていることが分かると思います。
窯業系サイディングに防水性を持たせるため、表面に塗装を施しているのです。
逆を言えば、裏面や断面は塗装がされていないため、そこには防水性能がないということになります。
そのため、表面以外に水が回ってしまうようなことがあれば、すぐに水分を吸収してしまうことになります。
表面も、経年劣化によって塗装の防水性がなくなれば水分を吸ってしまうため、防水性がなくなる前に塗り替えていく必要がある外壁材です。
また、外壁と外壁の繋ぎ目や窓周りにはシーリングが必要となります。
ALC
新築戸建でシェア率の約4%を占めているのが、ALCです。
水に浮くくらい軽く、耐火性・防音性・断熱性にも優れた外壁材です。
デザインの豊富さはサイディングに比べると少ないですが、石積調など凹凸がハッキリした方が良い場合には、ALCに軍配が上がります。
ALCの中身
ALCは「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」の略です。
日本語では(オートクレーブ養生した)軽量気泡コンクリートです。
軽石をイメージすると分かり易いかと思います。
画像を見ての通り、中には補強のための金網が入っています。
気泡が多くあり、そのままだと水を吸い込みやすく、金網も錆びてしまうことになります。
そのため、やはり塗装で防水をする必要があります。
ただ窯業系サイディングと違い、工場で塗装をするのではなく、現場で組み立ててから人の手で塗装をすることになります。
またALCとALCの繋ぎ目が多く、シーリングの必要量も必然的に多くなってしまいます。
新築時もメンテナンス時も、手間とコストがかかりますが、とても高性能という外壁材です。
モルタル
サイディング以前の主流だったモルタル外壁。
リシン、スタッコ、搔き落としなどの昔ながらな仕上げ以外に、左官職人がコテで模様を付けるオシャレな仕上げがあります。
モルタルの中身
モルタルはセメントと砂と水を混ぜたものです。
モルタル外壁の中は、下の画像のようになっています。
アスファルトフェルトという防水シートがあり、その上にあるラス網へモルタルを2回に分けて塗っていきます。
2回に分けて塗ることで、ひび割れが起こりづらくなります。
モルタル外壁もやはり防水のために、表面に塗装をする必要があります。
つまり、成型から仕上げまで、全て現場で行う外壁となります。
現場で行うということは、環境や職人の腕により、クオリティが左右されるということです。
それが、工場生産の外壁材がシェアを伸ばした一因にもなっています。
金属系サイディング
金属の外壁というと、昔ながらのトタンの印象を持つ方が多いかもしれません。
しかし窯業系サイディングと同様、モルタル調、タイル調など、一目では金属と分からないようなデザインの金属サイディングもあります。
施工性が良く、軽くて丈夫なことが特徴です。
金属サイディングの中身
金属サイディングは、金属板とアルミ箔で断熱材を挟んだ、板状の外壁材です。
使用されている金属板にはトタンやアルミ、ステンレスなどもありますが、ガルバリウム鋼板が最も一般的です。
メッキ鋼板
金属サイディングに使用される金属板には、トタンやガルバリウムがあります。
これらは鉄板(鋼板)にメッキ処理をした、メッキ鋼板という括りになります。
メッキの役割は主に鋼板を守ることですので、メッキの強さ=鋼板の強さと言っても良いでしょう。
建築に使用されているメッキ鋼板は、主に以下のようなものがあります。
- トタン:亜鉛
- ガルバリウム:亜鉛+アルミ+シリコン
- SGL:亜鉛+アルミ+シリコン+マグネシウム。
先程メッキの役割は鉄板を守ることと書きましたが、メッキを守る役割が塗装となります。
ガルバリウム鋼板は、しっかり塗装メンテナンスをしていけば、40年以上の耐久性があると言われています。
コンクリート
コンクリートの建物というと、マンションやビルのイメージが強いと思います。
実際、戸建でのシェアは1%未満です。
とても頑丈ではあるのですが、施工性や費用の問題から、戸建てには採用されづらい傾向があります。
コンクリートの中身
コンクリートはセメントに砂と砂利と水を混ぜたもの。
圧縮には強いのですが、引っ張る力には弱いという弱点があります。
その弱点を補うために、コンクリートの中に鉄筋を入れて補強しています。
コンクリートは、ここまで紹介してきた外壁材よりも水に強いものです。
とはいえ、全く水を吸い込まないわけではありません。
中には鉄筋が入っていますので、水を吸い込むとその鉄筋が錆びてしまいます。
またコンクリート自体も、二酸化炭素や、紫外線、酸性雨などの影響で、中性化して脆くなってしまいます。
そのためコンクリート外壁には塗装がされていますし、打ちっぱなしのコンクリート外壁でも、はっ水加工がされています。
塗装やはっ水加工は、年数と共に劣化しますので、やはり塗り直していく必要があります。
また、PCa板というコンクリートの板を組み立てて作る建物の場合、板と板に繋ぎ目がありますので、そこの補修が必要です。
タイル外壁
一口にタイルと言っても、その種類は大きく分けて3つあります。
- 磁器質タイル:約1300℃で焼成。吸水率1%以下
- せっ器質タイル:約1200℃で焼成。吸水率5%以下
- 陶器質タイル:約1100℃で焼成。吸水率22%以下
外壁に使用されるのは、このうち磁器タイルとせっ器タイルの2種類です。
どちらもとても丈夫ですが、磁器タイルの方はより頑丈で、対してせっ器タイルの方は見た目のバリエーションが豊富です。
タイル外壁もメンテナンスフリーではない
たまに、タイル外壁はメンテナンスフリーかという質問をいただきます。
確かにタイル自体は(汚れを気にせず、また衝撃で割れたりしなければ)メンテナンスフリーです。
しかし、タイル外壁はタイルだけでできているのではありません。
タイルを貼り付けるための壁や、貼り付けるための接着剤が必要となります。
こういったタイル以外の部分が劣化すると、タイルの剥落に繋がるため、やはりメンテナンスの必要があります
まとめ
今回は代表的な外壁材6つを紹介しました。
必要になる時期や使用する材料が違えども、どれもメンテナンスが必須です。
たまに完全なメンテナンスフリーの外壁はないかという質問をいただくことがあります。
しかし、現状では完全なメンテナンスフリーの外壁はありません。
ですので、ご自身のお住まいの外壁材を把握し、予めメンテナンススケジュールを組むことをオススメします。