絶対に避けたい! 外壁塗装工事の悪質な手抜き

外壁塗装の業界というと、どういうイメージでしょうか?

自分が身を置く業界ですので悪くは言いたくありませんが、悪徳のイメージを持つ方も多いと思います。

昔ほどではありませんが、必要のない高額な工事を勧めるケースや手抜き工事が、今も行われているのです。

今回は塗装業界によくある手抜き工事を解説します。

塗料の薄めすぎ

恐らくこれが最も行われる手抜きではないでしょうか。

塗装は下塗り1回、上塗り2回の合計3回塗りが基本です。

しかし下塗りを薄めても、上塗りを塗ってしまえば見た目には分かりません

薄めた下塗り。 建材が異なっても、同じ下塗り材を使用している。
上塗りが塗装後。下塗りの状態は分からない。

また上塗りを薄めた場合も、実はこちらも見た目にはほとんど分かりません

「並べればやや違うと分かる」程度の差しかありません。

そしてどちらが薄めた方であるか、判別することは難しいでしょう。

薄めて塗ったものだけを見る場合は尚更です。

見た目には分からなくても、薄めすぎると耐候性は大きく落ちています

なぜ塗料を規定以上に薄めるのか

塗装業者が塗料を規定以上に薄める理由は2つ。

作業性の問題と、費用の問題です。

作業性の問題

職人がスイスイと素早く塗っているので、簡単に見えてしまうかもしれません。

しかし均等な厚みを付けて塗り伸ばしていくことは、実は案外難しいものです。

しかし塗料を薄めて粘度を下げてしまえば、伸びが良くなり塗りやすくなります。

要するに、その方が作業が楽なのです。

そして見た目には綺麗に仕上がるため、薄められたことに気が付くのは、早すぎる劣化が起こってからです。

費用の問題

もし塗料の必要量が5缶半の分量だった場合、用意しなければいけない塗料缶数は6缶です。

しかし、そこを5缶で塗りきってしまえば、1缶分の材料費が浮きます。

そこで5缶で塗りきるために、規定よりも薄めてしまうのです。

塗料は高額なものになると、1缶で5万円以上のものもあります。

塗装業者からすると、目先のことだけ考えれば、薄めた方が塗りやすいし材料費も抑えられるのです。

薄め過ぎをさせないために

塗料の薄めすぎをさせないための、絶対的な方法はありません

しかし、これをやっていない業者は、絶対に薄め過ぎるというポイントはあります。

それは塗料を計量しない業者です。

塗料は、製品毎に希釈率が異なります。新しい塗料も次々に出ています。

そのため「職人の経験による勘」では、希釈率を守れません。

また、使用した塗料の缶数を記録し、提示してもらうことも、一つの対策です。

仮設足場

外壁塗装は2m以上の高所作業となりますので、足場が必要となります。

足場が上手に組まれていると、作業しやすくなります。

ですので、実は塗装のクオリティに関わってくる部分になります。

足場が不安定であったり、そもそも足場がない場合には、決して良い塗装はできません。

洗浄不足・塗りこみ不足

外壁塗装工事を行う際、塗装をする前に高圧洗浄機で塗る箇所の洗浄を行います

汚れや剥がれかけの旧塗膜などを除去し、これから塗る塗料と外壁の間に異物が入らないようにするためです。

異物が間に入っていると、塗装膜の膨れや剥がれの原因となります。

この洗浄不足が起こる要因として、単純な手抜き以外に足場の問題があります。

例えば屋根の洗浄時、足場がなければ、軒先まで洗浄することは難しいでしょう。

また塗装も足場がなければ、軒先は丁寧に塗りこめません。

もし足場がなければ、屋根の軒先には行けません

法律上も2m以上の高所作業には、原則足場が必要と定められています。

それでも未だに「足場なしで安く塗装します!」という話を耳にします。

実際に「前回は足場なしで塗装しました」という家は、軒先の塗装が不具合を起こしていることがほとんどです。

金額に惹かれず必ず足場を建ててもらいましょう

契約書の記載と実際の施工が異なる

契約書通りに施工しないなんて、そんな馬鹿な。

と、思うかもしれませんが、契約書通りの施工ではなくても、仕上がってしまえば気づくことが難しいものです。

例えばシーリングの打ち替えと増し打ち、施工後の見た目だけでは分かりづらいものです。

他にも、塗装を3回塗りの契約なのに2回塗りで終わらせても分かりません

実際の施工を見ていなければ、どういった施工方法だったのか、分からないのです。

かといって、ずっと監視していることができれば良いのですが、それも難しいでしょう。

そのため、業者側で施工の記録を細かく付けて、お客様へ報告することが次善策となります。

ただしあくまで記録ですので、悪意があれば誤魔化せてしまうことも事実です。

まとめ

いかがだったでしょうか?

外壁塗装工事は、お客様が気付かないうちに手抜き出来てしまう箇所がたくさんあります。

そして、その対策方法はどれも誤魔化しが利いてしまい、万全とは言い難いものです。

ですから対策方法はお客様が業者に「やってほしい」と希望してもあまり意味がありません。

業者側が対策方法を説明して、初めて「誠意を示す」という意味ができます。

最終的には「ここであれば手抜きをしない」と信頼できる業者を見つける必要があります。