家を長持ちさせるために外壁塗装をしても、すぐに塗装の劣化や、不具合を起こしてしまっては元も子もありません。
最悪のケースとして、塗ったがために悪化する場合もあります。
その原因が意図的な手抜きは論外として、家の構造や建材にある場合もあります。
この記事では、その要因の代表例として
- 外壁の直貼り
- 外壁材の不具合
- 下塗りの選定ミス
以上の3つを、今回は解説していきます。
外壁の直貼り
サイディング外壁を使用した家の場合、柱等の躯体とサイディング外壁の間に通気するための空間を設ける、通気工法が一般的です。
反対に、躯体と外壁をぴったり密着させる工法を直貼り工法と言います。
通気工法の場合、屋内からの湿気は、設けた空間から出ていきます。
直貼り工法の場合は空間がないため、屋内からの湿気はサイディングを通して出ていこうとします。
そのサイディングに塗装をすると塗装による膜が作られて、湿気が逃げ場を失ってしまいます。
逃げ場を失った湿気が塗装を押し上げることになり、塗装の膨れや剥がれを引き起こす要因となります。
もし直貼りの家であれば、膜を作らない透湿性に優れた塗料がありますので、そちらを選択するのがベターです。
ただし、それでも完全に不具合が抑えられるわけではありません。
2001年より通気工法が全国で標準の工法となってはいますが、それ以降の新しい家でも直貼り工法を見かけることがあります。
ただし、2009年10月1日以降の引渡し新築物件であれば、品確法の関係で通気工法が必須となりました。
通気工法か確認する方法として、サイディングの下端から壁内へ手を差し込み、隙間があるか調べる方法があります。
指が入らないなど、判断が難しい場合は、業者に「この家は通気工法か直貼りか」と質問してみるのも手です。
その業者がしっかり確認してくれているかどうか、一つの指標になるかもしれません。
塗ってはいけない建材
外壁材や屋根材には直しようのない、製品固有の不具合があります。
そういった製品には塗装ではなく、張替や上張りといった選択肢を取るべきです。
ご自宅に使用されている材料の製品名は、建築図面や仕上表に記載されていることがあります。
その製品名をネット検索することで、不具合の情報が見つかることがあります。
もちろん業者がそういった製品の特長を把握しておくべきですが、依頼する側が知識を持つことは自己防衛手段の一つです。
下塗りの選定ミス
外壁塗装における下塗りは、上塗り塗料と外壁を繋げる接着剤のような役割があります。
接着剤にも木工用、ガラス用など用途別に分かれているように、塗装の下塗りも外壁に合わせて選択する必要があります。
それも単純に外壁の種類だけで見るのではなく、劣化状況に合わせた選択が必要です。
そういった判別は難しいところですが、間違えてしまうと塗装の膨れや剥がれに繋がります。
なぜその下塗りを提案してきたのか、しっかりと納得のいく説明をしてくれる業者を選びましょう。
外壁・屋根の劣化が進み過ぎている場合
先程、劣化状況合わせて、下塗りを選定すると書きました。
ただしそれはあくまで、塗装が可能な範囲での劣化状況だった場合です。
劣化の進行が顕著であれば、塗装は出来なくなります。
塗装ができない場合は、やはり張替や上張りといった選択を取るべきです。
悪意のある手抜き
ここまで挙げた不具合の原因は、いわば知識不足や判断ミスによって起こるものです。
しかし、ミスではなく、意図的な手抜きによって起こることも、もちろんあります。
そして悲しいことに、悪意を持った意図的な手抜きは、未だになくなりません。
高圧洗浄の手抜き
塗装工事を行う前には、高圧洗浄を行います。
この高圧洗浄が不足していると、汚れや脆弱になった旧塗膜が外壁に残ってしまいます。
そのまま塗ってしまうと、それらが異物として、外壁と新しい塗装との間に挟まってしまいます。
異物が挟まれば、密着性は低下し、塗装の剥がれや膨れを引き起こしてしまいます。
塗料の薄めすぎ
外壁・屋根用の塗料は、水性の場合は水、油性の場合は塗料用シンナーで薄めて使用します(薄めず塗るものもあります)。
どれだけ薄めて良いかという希釈率は、塗料ごとに定められています。
そのため薄める時には必ず計量器を使用して、重量比を量らなければなりません。
ベテランの勘で混ぜるというのは、ミスを起こす単なる手抜きですので注意してください。
また薄めた方が塗りやすく、材料費も浮くため、あえて規定以上に薄める悪徳業者もいます。
こういった手抜き業者を避けるためにも、計量器を使用する塗装業者を選びましょう。
まとめ
今回は塗装に不具合が起こる原因について解説しました。
ここで挙げたものはほんの一例で、これ以外にも様々な要因があります。
それら全てを把握しようと思うと、膨大な時間が必要になってしまいます。
大切なことは、そういった知識を持った塗装業者を見つけることです。
当記事を通して、少しでも失敗を遠ざける知識をつけていただければ幸いです。