外壁塗装は3回塗りが基本。2回塗りや4回塗りは?

外壁の塗装は、3回塗りが基本とされています。

その内訳は、下塗り1回+上塗り2回の合計3回塗りです。

塗料の施工仕様を見ても、3回塗りになっている塗料が多くを占めています。

この記事では、下塗りと上塗りの役割を解説し、なぜ3回塗りなのかという疑問に迫っていきます。

上塗りの役割は?

上塗りの役割は、外壁材の保護です。

何から保護するかというと、主に紫外線水分

外壁材にも色々ありますが、紫外線により分解されたり、水を吸い込んで脆くなるものがほとんどです。

良い状態をキープするためには、定期的な塗装が必要となります。

上塗りを1回ではなく、2回塗る理由

外壁~塗装膜の断面図

なぜ上塗りを2回塗るのかというと、外壁をしっかりと保護するためには、塗装の膜に厚みが必要だからです。

塗装も外壁と同じく、紫外線により表面から徐々に分解されていきます。

厚みがなければ、すぐに塗装膜がなくなってしまい、耐久性が保てなくなります。

では1回でたっぷり塗るとどうなるでしょう?

もちろん、液体ですのでたっぷり塗れば垂れていってしまいます。

ですので厚みを確保するためには、重ねて塗るという方法を取る必要があります。

上塗りを3回以上塗るとどうなる?

もっと厚みを確保するために、2回と言わず3回、4回と重ねて塗れば、その分耐久性が上がるのでしょうか?

残念ながら、塗り回数を増やしても耐久性は上がりません

なぜなら厚みが増すと、壁内の湿気を逃がす「透湿性」が失われるからです。

これは湿気の多い日本という国に置いて、大変な事態になります。

過度な湿気は塗装に不具合を起こしたり、木材を腐らせたり、良いことなしです。

透湿性を失わずに、防水性や紫外線からの保護をするためには、製品設計通りの施工をする必要があるのです。

ただし、製品設計として上塗り回数が2回ではない塗料もありますのでご注意を!

下塗りの役割は?

下塗りの役割は、主に2つ。

外壁と上塗りの間に入って密着性を高めることと、外壁が上塗り塗料を吸い込んでしまうことを防止する役割です。

また下塗りによっては外壁の色が透けないようにしたり、大きな効果は期待できませんが下地補強の役割をする下塗りもあります。

外壁と上塗りの密着性を高める

外壁と上塗りの密着性を高めると言うのは、簡単に言うと接着剤の役割ですね。

何をくっつけるのか、または何にくっつけるのかで接着剤を使い分けるように
外壁材と上塗りによって下塗りも使い分けていきます。

窯業系サイディング、モルタル、ALC等は下塗りが共通することも多いですが、それらと金属系外壁の下塗りは別の物になります。

吸い込みを止める

金属系外壁は、いくら劣化しても水を吸い込むことはありません(錆びてはしまいますが)。

しかし窯業系サイディングやモルタル、ALC等は違います。

劣化と共に防水性を失い、水分を吸い込むようになってしまいます。

この状態で上塗りを塗ってしまうと、上塗りが外壁に吸い込まれてしまいます

先述したとおり、上塗りの役割は紫外線や水から外壁を保護することですので、吸い込まれずに表面へ出ていなければいけません。

なので先に下塗りを吸い込ませて、上塗りの吸い込みを防ぐのです。

下塗りの塗り回数は?

下塗りの塗り回数は基本的に1回です。

上塗り塗料の施工仕様を見ても、ほとんどが下塗りを1回として記載しています。

ですが下塗りの施工仕様を見てみると、例外として下塗りを2回塗る記載があります。

下塗りを2回塗るケース

下塗りは「密着性を高める」「吸い込みを止める」という、1つで2つの役割があります。

しかし外壁の劣化が顕著な場合は、それぞれの役割に特化した下塗りで1回ずつ、合計2回の下塗りを塗るケースがあります。

その場合は、先に「吸い込みを止める」下塗りを塗り、そのあとで「上塗りの密着性を高める」下塗りを塗ります。

ですので下塗り2回、上塗り2回で合計4回塗りということになります。

ただし、これは塗装が可能な範囲での劣化において可能であり、塗装ができないほど劣化した外壁を直す方法ではありません。

下塗り2回で長持ち?

たまに、下塗りを2回塗るので長持ちという宣伝文句を目にします。

しかし何度も説明していますが、下塗りの役割は「外壁と上塗りの密着性を高めること」と「外壁が上塗りを吸い込んでしまうことを防止すること」です。

言い換えれば、上塗りを万全に活かす役割です。

「長持ち」に関しては上塗りが担う役割ですので、下塗りを2回塗っても耐候性には関係ありません

適切に下塗りを使うことで、上塗りの耐候性をしっかりと引き出す、という表現が正しいでしょう。

下塗りを塗らないケース

ここまで下塗りの重要性を述べてきましたが、実は下塗りを塗らないケースがあります。

それはクリヤー塗装をする場合です。

クリヤー塗料は製品設計上、下塗りを入れずにクリヤー塗料を2回塗ることになります。

また木部用塗料も、2回塗りの仕様になっていることが多い塗料です。

まとめ

今回は、外壁塗装の塗り回数について解説しました。

塗料メーカーが謳う性能を発揮するには、塗料メーカーの定めた塗り回数が大事ということです。

そして塗料の多くが、3回塗りと定めています。

もし3回塗り以外の提案があった場合には、契約する前にその理由をしっかりと確認しましょう。