外壁塗装の色褪せしにくい色とは? 光の波長と顔料から科学的に解説

「なぜあの色は色褪せしやすいのか」には、科学的な理由があります

外壁の色褪せを「塗料の品質が悪かったから」と感じる方も多いですが、実は色そのものの性質が大きく影響しています。
同じメーカー・同じグレードの塗料を使っても、選んだ色によって色褪せのしやすさが変わります。

この記事では、光の波長・顔料の種類・顔料の量・色褪せの「目立ちやすさ」という4つの観点から、色褪せを科学的に解説します。

 

まず「色が見える」仕組みを理解する

色が見えるのは、太陽光が物体に当たったとき、特定の波長の光だけが反射されて目に届くためです。

・青色の外壁塗装 → 約400〜500nmの短い波長の光を反射している
・赤色の外壁塗装 → 約600〜700nmの長い波長の光を反射している
・白色の外壁塗装 → すべての波長をまんべんなく反射している
・黒色の外壁塗装 → すべての波長を吸収し、ほとんど反射しない

この「どの波長を反射しているか」が、色褪せのしやすさの要因の一つです。

 

観点①|光の波長:短い波長を反射できる色ほど色褪せしにくい

光は波長が短いほどエネルギーが強くなります
青色の波長(400〜500nm)は赤色の波長(600〜700nm)よりも短く、エネルギーが強い光です。

この強いエネルギーの光を「反射できる」ということは、吸収せずに跳ね返しているということです。
吸収しないということは、その光によるダメージを受けにくいことを意味します。

道路標識を思い浮かべてください。


長年使われた道路標識を見ると、赤色の部分は早く色褪せるのに対して、青色の部分は比較的長持ちしています。
これは赤色が弱いエネルギーの光しか反射できないのに対して、青色が強いエネルギーの光を反射できているためです。

波長の観点だけで見れば、「青は色褪せしにくく、赤は色褪せしやすい」ということになります。

 

観点②|顔料の種類:「有機顔料」か「無機顔料」かで耐候性が変わる

色褪せは波長だけでは決まりません。
塗料に使われる「顔料(色を出す成分)」の種類が、色褪せのしやすさに大きく影響します。

有機顔料(炭素を含む顔料)

鮮やかな発色が可能で、青・黄・緑などの鮮やかな色を表現するために多く使われます。
しかし炭素を含む分子結合は紫外線によって壊れやすく、色褪せしやすい傾向があります。

無機顔料(鉱物・金属酸化物などから作られた顔料)

白・グレー・ベージュ・黒などの落ち着いた色に多く使われます。
発色はやや地味ですが、紫外線で分子構造が壊れにくいため、長期間色調を維持しやすい特性があります。
白色に使われる酸化チタンは、代表的な無機顔料です。

<白色顔料>
多くの外壁用塗料は白色をベースに色作りがされています。

例えば、青い塗料を作るために青の顔料だけを使うと、下地が透けてしまう半透明な塗料になるか、顔料を沢山使った濃い青になります。
それを下地の隠蔽性に優れた酸化チタンでカバーするために、白色をベースとすることが多いのです。

ただし酸化チタンは紫外線が当たると光触媒反応を起こし、塗料を傷めてしまうラジカルが発生します。

ラジカルと光触媒について、詳しくはこちら。

屋根用の基本色に多い、濃く暗い色であれば、白色をベースにする必要がないため、酸化チタンが入っていない塗料も多くあります。

 


有機か無機か

青色を表現する場合は有機顔料を使用している塗料が多いですが、青色の無機顔料が存在しないわけではありません。
また、赤色は赤茶のような落ち着いた色は無機顔料が多く、鮮やかな赤は有機顔料を使用している場合が多いです。

そのため、青だから有機顔料、赤だから無機顔料と断言はできず、また多くの塗料メーカーは、製品毎に使用している顔料の詳細を表示していません。


波長の強さと顔料の強さ

青色は波長の観点では「色褪せしにくい色」です。
しかし外壁用の塗料では、青色を出すために使われるのは有機顔料であることが多く、顔料の観点では「色褪せしやすい」という二面性を持っています。

「青は光を跳ね返す力は強いが、その色を出している顔料自体が弱い」という矛盾した性質を持っているのです。

これが、外壁塗料の色選びを単純に「この色は強い・弱い」と断言できない理由です。

 

観点③|顔料の量:顔料が多いほど色褪せが早くなる

もう一つ、見落とされがちな要因が「顔料の量」です。

塗料は「樹脂」と「顔料」と「溶剤」の組み合わせで構成されています。
このうち樹脂が外壁への密着と顔料の保護を担っており、塗膜の耐候性を決める主役です。

濃い色を作るために顔料の配合量を増やすと、相対的に樹脂の割合が下がります。
樹脂が少なくなると、顔料を保護する力が弱まり、色褪せが早まります。

濃い色は顔料が多い

濃い色を出すには、多くの顔料が必要です。
そのため、これらの色は顔料の量が多くなりがちで、樹脂の割合が下がりやすくなります。

白・淡い色は顔料が少ない

白やベージュ・薄いグレーなどの淡い色は、顔料の量が少なくて済みます。
そのぶん樹脂の割合が高く保たれ、顔料をしっかり保護できるため、色褪せしにくくなります。

 

3つの観点をまとめると

 

観点④|色褪せの「目立ちやすさ」:顔料の劣化とは別の視覚的・心理的な問題

顔料が実際に劣化していなくても、色によって「色褪せが目立ちやすい」「目立ちにくい」という違いがあります。

原色・鮮やかな色は少しの変化でも目立ちやすい

原色や鮮やかな色は、私たちが「この色はこうあるべき」というイメージを強く持っています。
そのため、わずかでも色調が変化すると「色褪せた」と敏感に感じ取られます。

一方、カーキ・グレージュなどの中間色・くすんだ色は、最初から落ち着いた色調のため、多少の変化があっても「もともとこういう色」と認識されやすく、色褪せが目立ちにくいです。

ただし、白に近ければ近いほど色褪せは目立ちませんが、汚れの付着は目立ってしまいます。

同じ面でも場所によって色褪せの進行度が違う

ここで見落とされがちな問題があります。
外壁の同じ面でも、日当たりの条件によって色褪せの進行速度が異なります。

・軒下・庇(ひさし)の下など日が当たりにくい部分
紫外線の影響が少なく、色褪せの進行が遅い

・ベランダ・窓まわりなど日が当たりやすい部分
紫外線を直接受け、色褪せの進行が早い

 

同じ面の中で色褪せの進行度に差が生じると、色の濃い部分と薄い部分が色むらに見えます。
原色や鮮やかな色ではこのムラが非常に目立ちます。

一方、中間色・くすんだ色はもともとの色調の幅が広いため、多少のムラが生じても「色の表情」として自然に見えやすく、目立ちにくいのです。

よくある質問

Q. 青や濃色を選んだ場合、色褪せを抑える方法はありますか?
A. フッ素塗料・無機塗料など耐候性の高い塗料を選ぶことで、顔料の弱さをある程度補うことができます。
樹脂の耐候性を上げることで、顔料を長期間保護しやすくなります。

Q. 同じ色でも、塗料によって色褪せのしやすさに差がありますか?
A. あります。
様々な色のベースに使われる酸化チタンには、紫外線が当たったときに塗膜を分解してしまう「光触媒作用」を抑えた「ラジカル制御塗料」と、そうでないタイプがあります。
同じ色でも、ラジカル制御塗料の方が塗料の劣化が遅く、それに伴って色褪せも遅くなります。

Q. 色褪せしにくい色を選べば、塗料のグレードは下げてもいいですか?
A. 色選びは色褪せのしやすさに影響しますが、塗膜全体の耐候性は樹脂の種類(シリコン・フッ素・無機など)が最も大きく左右します。
次の塗り替え時期までの期間をより長くしたいのであれば、まずは塗料のグレードを重視してください。

 

まとめ

外壁塗料の色褪せしやすさは、以下の4つの観点から決まります。

・光の波長
短い波長(青・紫系)を反射できる色ほど光によるダメージを受けにくい。赤は長波長で弱く、最も色褪せしやすい

・顔料の種類
有機顔料は発色が鮮やかだが紫外線に弱い。無機顔料は耐候性が高く色褪せしにくい

・顔料の量
鮮やかな色・濃い色は顔料が多くなり、樹脂の割合が下がって色褪せしやすくなる

・色褪せの目立ちやすさ
原色・鮮やかな色はわずかな変化でも目立ちやすく、軒下とベランダなど日当たりの差による色ムラも顕著に見える。中間色・くすんだ色は変化が目立ちにくい

 

白・薄いグレー・ベージュなどの淡い色は、4つの観点すべてで有利であり、長期間キレイな状態を維持しやすい色です。
どうしても鮮やかな色を選ぶ場合は、耐候性の高い塗料との組み合わせで補うことが重要です。


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